【実績者インタビューVol.27】「教わりに行く」から「学びに行く」へ――57歳で掴んだ学習支援×AIという新天地
教わる時間はもういらない。
学びに行く勇気が、次のキャリアをつくる
【実績者インタビュー】では、SHIFT AIに所属し、AIを活用してユニークな実績を出している方々を『AIシフター』と銘打ち、インタビューを行います。彼らがどのような軌跡をたどり、どんな風にAIを活用しているのか。素朴な疑問をぶつけながら、その成功の秘訣を探ります。
今回登場するのは、神奈川県在住で「学習支援研究所」を立ち上げた濱野大さんです。河合塾で30年、横浜国立大学で台風研究センターの事務局を務めた後、57歳にして個人事業主として独立しました。AI未経験から半年足らずで、独自の「学習支援コンサルタント」として月10万円の副業収益を達成しました。
濱野さんがたどり着いたのは、AIを活用した「大人の学び方改革」という新たな領域でした。
「若い頃とは脳の仕組みが違っているから、学習方法も自ずと変わってきます。大人の脳にどうやって新しい情報をインプットするか、アウトプットできるようにするかが私の仕事です」
今では法人向けのAI導入支援も視野に入れる濱野さん。その劇的な変化の軌跡と、独自の学習理論を紐解きます。
濱野大
神奈川県在住。河合塾で30年間、チューター、模試作成、映像事業スーパーバイザーなど教育現場のバックヤードを幅広く経験。横浜国立大学では教授秘書として勤務し、2022年に設立された台風科学技術研究センターのコンソーシアム事務局に勤務。 2024年、フロリダでの3か月滞在中にSHIFT AIで学びを再開し、2025年3月に生成AIパスポート試験に合格。AIを活用した「大人の学び方改革」に取り組み始める。
- 職種
- ・学習支援コンサルタント(個人事業主) ・生成AIパスポート取得支援 ・AIツール活用指導
- SHIFT AI受講歴
- 2024年9月入会
- 受講した講座
- ・収益化ウェビナー
・生成AIパスポート講座、ウェビナー(複数回視聴)
・実績者インタビュー動画(30本以上視聴)
- 収入before→after
- 副業開始前:0円/月→副業開始後:10万円/月
目次
河合塾30年、そして横浜国大へ、教育畑一筋のキャリア
濱野さんのキャリアは、河合塾のバックヤード業務から始まります。チューターから模擬試験販売・実施・データ処理、映像FC事業のスーパーバイザーから美術大学受験支援まで、30年間で大学受験現場のあらゆる裏側を経験。まさに「大学受験の全メニューを舐めた数少ない人」でした。
その後、横浜国立大学で、2022年に立ち上がった台風科学技術研究センターの教授(センター長)秘書と、コンソーシアム事務局を担当。国内台風研究の最前線を支えました。
「教育機関で働いていると、児童・学生向け教育マーケットの縮小は肌で感じていました。だからこそ、次は大人の学び直しに関わりたいと思ったんです」
長年の教育業界での経験と時代の変化が、濱野さんを「教育」から「研究支援・学習支援」へとシフトさせていきました。
運命を変えた3ヶ月――フロリダで見つけた「AI学習」という光
2024年10月、濱野さんは大きな岐路に立たされます。
若い頃の夢だった沖縄への転職を決意。内定を獲得し、横浜国大に退職届を提出しました。しかし、企業から届いた契約書を見て愕然としました。正社員募集のはずが、契約社員での採用だったのです。話が違うと、その話は白紙に戻りました。
「退職届を出した後でしたから、もう『やばい』と思いましたね」
そんな時、横浜国大での勤務と並行し、国際的なフリーランスプラットフォームであるUpworkの公認コミュニティ「Upworkers Japan」の立ち上げに携わってきた 濱野さんに、コミュニティリーダーから思いがけない話が舞い込みます。フロリダで3ヶ月間、セカンドハウスの留守番をしてくれる日本人を探している米国人がいる、というのです。
これも何かのご縁、と、12月から翌年3月までの3ヶ月間、濱野さんはフロリダで、人生を変える時間を過ごすことになります。
「行ってみたら本当に何もないところで。時間がたっぷりあるし、AI学習する絶好のチャンスだと思いました」
SHIFT AIに入会していたものの、最初の3ヶ月は「迷子」状態だったという濱野さん。膨大なコンテンツに圧倒され、何から手をつければいいか分からなかったといいます。しかし、フロリダでの時間が、その状況を一変させました。
12月から本格的にAI学習を始めてすぐ、2月に生成AIパスポート試験があることに気づき、ステイ中の学習・受験、無事に試験に合格を果たしました。このときの経験が、濱野さんに大きな気づきをもたらしました。
「ついつい昔のクセで『教わりに行く』スタイルになってしまっていてかなり苦労したんです。『学び取りに行く』スタイルでなければ、大人の脳は新しい情報を受け入れてくれないことを強く思い知らされました。SHIFT AIがそのことに気づかせてくれました」
「脳を騙す」学習法――生成AIパスポートLT会から始まった新事業
帰国後、濱野さんは生成AIパスポートの感想を主催者に送りました。その詳細なフィードバックが評価され、SHIFT AI主催の5月のLT会(ライトニングトーク会)に登壇することに。そこで「AI時代の学習法」について発表したところ、30人が参加し、そのうち4人から個別指導の依頼が入りました。
「皆さん、『全然入ってこない』『昔ほど覚えられない』と悩んでいました」
濱野さんが提唱するのは、「大人の脳の仕組み」を理解した学習法です。
「若い頃は生きるために何が必要か分からないから、脳は新鮮なものを全部記憶していく。でも大人になると、脳は『もう生きるための新しいこと覚えなくてもいいよね』という状態になってしまうんです」
そこで鍵となるのが、脳を「騙す」学習法です。講座を1.5倍速で視聴するなどして集中状態をつくり出し、「これは生きるために重要な知識だ」と脳に思いこませることで、学習効果を高めます。
ただし、インプットだけでは「覚えたつもり」という錯覚に陥り、実際には知識を使いこなせないという次の壁が生まれます。濱野さんは、この「覚えたつもりのバイアス」を突破するため、ChatGPTとの対話を使った独自の出力訓練、「出力筋トレ」を考案しました。
さらにその発展型として、AIとの対話の質を自由に変える「テンパーチャー制御」という独自の手法を開発。慎重に検討したい時はテンパーチャーを0.2に、大胆なアイデアが欲しい時は0.8や0.9に。この温度設定をプロンプトに入れることで、AIとの対話の質を変化させます。
「ブレストでは温度を上げてホットに議論し、精査する時は温度を下げて慎重に。最後にまた温度を上げアピール力を磨いた出力をさせる。こうすることで、ハルシネーションが少なく、かつ説得力のあるアウトプットが得られるんです」
AIが映し出す「自分」――メタ認知と言語化の新たな地平
濱野さんのコンサルティングの特徴は、AIを「自己理解のツール」として活用することです。
「AIって『1番正しそうなもの』を計算して出力しているに過ぎません。助詞1個で答えが変わってきます。でも、それがなぜ起きたのかをAIに聞けば、AIが出力時に組み入れていた認知バイアスを返してくれるんです」
ある会社員のクライアントから、「日本語でChatGPTと会話しており、別のトピックでも日本語で質問したところ、突然英語で返事が来た」と愚痴っぽく相談されたことがありました。濱野さんは説明します。
「AIにとっては1番正しいと思った瞬間に出力が切り替わっただけなんです。あなたの質問パターンがAIにとって英語で回答すべきパターンとして認知されていて、人間には認知されていないギャップがあるから起きているだけなんです」
このギャップを理解し、自然言語で埋めていく。それが濱野さんの提唱する「学習支援」の本質です。
「私、昔から理屈っぽくて家族からは煙たがられていました。でも、AIと話すと、こんなにも通じるのかと驚きました。AIを相手にすると、言語化とメタ認知の重要性がよく分かります」
NotebookLMからタイミーまで――多様な活動が生む相乗効果
現在、濱野さんの活動は多岐にわたります。
学習支援コンサルタントとしての個人指導に加え、ChatGPTやNotebookLMを活用した業務効率化支援を行っています。さらに週末は倉庫でのマネージャーバイト、タイミーマスターとしても活動しています。
「タイミーの現場で40代の方と話すと、『このまま俺、定年まだいるのかな』みたいな相談をよく受けるんです」
飲食店や冠婚葬祭の弁当配達やケータリング会場、ブルーワーク…。そこで出会う同世代の悩みが、濱野さんの事業の原動力になっています。
「40代、50代の方って、大体お子さんがいる。お子さんが成長意欲を持ち続けるために、親がチャレンジする姿を見せるのが大事かもですよ、と言ってます。私、子供を見ると自然に笑顔になっちゃうんです。子供の成長する姿を見るのがナチュラルに好きで、これは理屈じゃないんですよね」
幼稚園から小学校まで、有給を取り、子供の行事に参加し、PTA会長の声がかかるほど子育てにコミットしてきた濱野さん。その根底にあるのは、「子供の成長があれば世の中うまくいく」という信念でした。
「でも、今の世の中はそれがシュリンクする方向に行っている。だから親御さんが学習する姿勢を持ち、変化を楽しみ、お子さんがそれを見て『学ぶって楽しそう』と思っていく。そう変わることが元気な日本をつくる原動力だと思うんです」
足し算から掛け算へ――法人展開を見据えた次なる挑戦
「よく『キャリアとAIの掛け算』って言いますけど、実際は足し算ですよね」
濱野さんは、現実的な視点でAI活用を捉えています。
「掛け算でやれる人は、元の実績がものすごいものを持っている人。大体の方は足し算程度。でも、その足し算でも十分価値があると思うんです」
現在は個人事業主と会社員が半々のクライアントですが、今後は法人向けの展開も視野に入れています。3つの委託業務を抱えながら、営業顧問的な活動も開始予定です。学習支援研究所という「私設ラボ」から、より大きな舞台へと歩みを進めています。
「スキームはまだ甘いですが、1年後にはもう一度インタビューしていただけるような成果を出したいですね」
57歳での独立、それは終わりではなく、新たな始まりなのかもしれません。
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撮影場所: WeWork Shibuya Scramble Square
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